2003年 11 13

函館市長 井上 博司 殿

 

函館の新図書館にのぞむ会

   世話人代表 鎌鹿 隆美
     連絡先 函館市駒場町9−10 自然倶楽部気付

             電話・fax 0138−31−5339

 

「函館市中央図書館」の建設にかかわる再質問・要望および意見書 (補足)

 

先ごろ貴職より発表された「開館準備スケジュール(案)」と「管理運営手法想定に基づく試算(平年度ベース)」
および「9月27日開催のシンポジウム」「その他不分明な点」について次のように質問および要望いたします。
なおこの文書は2003年8月27日に提出した再質問書の補足として提出するものです。

 

ご回答の際には、回答趣旨その他について公開の場で、貴職自らもしくは決定権限を持った責任者が
ご説明くださるとともに当会と意見交換の場を設けられるよう、再度、強く要望するものです。

 

「管理運営手法想定に基づく試算」について―――

 

@試算の作成責任部署を明示していただきたい。

A「平年度ベース」とは平成16年度だけのことなのか今後何年間か(たとえば5年間など)の平均または
その期間つづくことを前提にしているのかが不分明です。開館前の事前の諸経費も含めての全体像を
年度別に示していただきたい。

 B試算根拠が全体として不分明です。

 ・ 「人件費」の「委託費」で外注分は賃金計算でBが20人、Cが25人分と想定されるが、それを
前提にするとBは1人あたり425万円、Cは同400万円であり、違っているのはどういう理由か。

市職員の図書館の現状人件費は1人あたり894万6,000円で一般の市職員の人件費に比べても
高いのではないか。平年度ベースでこれを「800万円」とした根拠は何か示していただきたい。

 C「維持管理費」についても試算根拠が不分明です。

・ 「光熱水費」が現状の9.485倍の3,000万円になるとしたそれぞれの根拠はどういうものか。
現本館と項目別に比較するためにも電気、上下水道、ガス等の別に示していただきたい。

     6/10市議会質問で、ソーラーパネル30kwの設置で、新図書館の1階部分の照明を
カバーできると回答しているが、ソーラーパネルの電気代に占める寄与率は2%とのことで、これでは
シンボリックな意味にしかならないのではないか。さらに実質的な方策を加えてほしい。

・  ソーラーパネル30kwの発電量が新図書館の必要電気量に占める比率は何%であるのか
示していただきたい。

・  基本設計で熱源はガスにするとしているが、電気にした場合との比較計算が示されていない。
どれだけ安くなるのか示していただきたい。

     「委託費」の内訳を示していただきたい。また、「5,000万円」の想定は現状の

22.533倍になり、(現在はないエレベーターなどの設備の保守点検が加わるにしても)いかにも高すぎ
 ないか。現在の本館での委託費と項目別に比較したものを示していただきたい。

      委託方法としては一括発注なのかサービス別の個別なのかいずれを想定しているのか。

      10年に1回程度想定される大規模修繕費やその他の中小修繕費も全額といわないまでも一定の
額を平年度ベースで積立金として計上する必要があるのではないか。

また、大中小修繕費の試算額を示していただきたい。

 D「資料整備費」が現状で2,895万4,000円になっているが、6/10議会答弁では今年度予算5,500万円で
うち5,000万円が図書整備費、残りが情報システム整備費200万円、デジタルアーカイブ作成経費300万円と
聞いている。どう整合するのか。開館前の整備費を別に示していただきたい。

    ・  16年度(以降)の8,000万円の内訳はどのようなものか示していただきたい。

・  図書整備を「3万冊」として試算しているが、基本計画では年間購入図書冊数を

.4万冊としている。どう整合するのか示していただきたい。

      この程度の経費試算で開館時の開架目標20万冊を達成できるのか示していただきたい。

      C案では総経費に占める資料整備費の割合は18.39%だが、他都市ではどうなのか
     示していただきたい。

 

E「電算システム所要経費」の中でシステム初期導入費用を5年リースとしてこれに含めているとのこと
だが、その内訳と金額の妥当性及び通常の保守・運営コストとを分けて示していただきたい。 

  F「その他運営経費」の個別の内容を示していただきたい。

 

 開館準備スケジュール(案)について―――

 

 @「運営体制の検討(アウトソーシングの導入等)」の内容が不分明なままであり、基本中の基本である
 現状の14.3倍の貸出人数、4.8倍の貸出冊数を実現するための方針や改変策、何をどのように市民に
 アピールするのかが不明なままです。

具体案を示していただきたい。

A現本館を開館準備・移転のため17年3月から休館するとしているが、その期間が半年以上に及ぶのは
問題であり、特に郷土史資料等の調査に対しては著しく不便です。

短縮する方法はないのか検討していただきたい。

 

 9/27シンポジウムに関連して―――

 

 9/27の内容はワークショップに資する市民の意見を広く聞く場という当初の目的に照らしておおいに
不満足なものといわざるをえない。主催者側にも司会者にもそうした意欲も準備も不足していたのでは
ないか思わざるを得ません。

 @小川俊彦氏(基調講演者・コメンテーター、NPO図書館の学校副理事長)の意見は多くの貴重な提言を
含んでいたが、新図書館に対する現在の市の進め方をみるとこうした提言をどう反映するのか理解しがたい面がある。

 ・  市川中央図書館の「社会人席」(760席の閲覧席のうち60席)を座席票で割り振る方式の応用
可能性は新図書館にあるのか。

 ・  建物ができた後のフォローができていない例が多い。「公共図書館は行政が建物をつくるが、つくり
あげるのは行政を含めた市民」という指摘について現行の進め方が合致しているのか。

   ・  日本の公共図書館はニューヨークの公共図書館に比べて20年遅れている。

新図書館はどのくらいのレベルを目標とするのか示していただきたい。

A中山館長の発言では、函館の新図書館は何をつくり、どう変革するのかが不分明であった。

・   中山館長は「(函館の図書館は)他から15年〜20年遅れている」ことを認識しながら、
「(だから)一挙にはできない」「平成17年12月をスタートに徐々に進めるしかない」「目指すものは
利用者の望む情報を提供すること」と発言するにとどまった。

  ・   国内でも15年〜20年も遅れ、ニューヨークからはさらに20年遅れた函館の図書館を「徐々に」
   変える発想で、いつの時点で遅れを取り戻すことができるのか、そのめどを明らかにしていただきたい。

      本シンポジウムの「ねらい」をもとに、この新図書館の計画案で改善すべき点があれば示していただきたい。

 

 再質問書で質した点、その他従前の回答などで不分明なままの点について―――

 

@       緑地率30%をクリアすると市は議会にも回答したが、その数字の根拠を明らかにするために
設計原図または無縮小コピーをすみやかに提出されたい。またブロック別の数字も示されたい。

A       基本計画の内部レイアウトは、全体としてオープンであり、閲覧者の年齢層・目的等に見合った
適切な区分をするという配慮が不足しているといわざるをえない。

特に児童コーナーと一般の閲覧室との間には格別な仕切りがないために児童らが騒いだり・走り回ったりして
他の閲覧者に迷惑を及ぼす可能性が高い。またパソコンによる図書検索・インタ−ネットの利用に伴うキーボードの
音なども静寂性を損なう恐れが大きい。
2階に研究者向けのスペースを設けて、一定の静穏性を確保したというが、1階から2階にかけては吹き抜け構造
であり、1階の音が上に抜ける可能性を懸念する。
実際の利用者想定に基づいた遮音性・静寂性の確保についてきちんとしたシミュレーションを行ってレイアウトを
見直していくということが必要であると考える。

改善の有無を示されたい。


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